でも彼は違った。ユーザーが実際に何を求めているかをもとに、使うほどに良くなるAIエージェントをつくった。

Madhav は、ウォータールー大学のコンピューターエンジニアリング専攻の最終学年。東京の樹林AI で3ヶ月間、エージェント開発に取り組んだ。インターン最終週に、彼に話を聞いた。
従来のエージェントは、「設定した通りに動く」ものだ。
一度設定すれば、そのまま同じ挙動を繰り返す。
でも、それでは不十分だと彼は考えた。
「普通はエージェントを作るとき、設定を決めて終わりです。そのあとは毎回同じ動きをする。でもそれって、AIを最大限活用しているとは言えない。従来のソフトウェアと同じで、一度作ったらずっと同じことを繰り返すだけです。」
彼がつくったのは、その逆だ。
「AIにできることは、ユーザーが何を求めているかをトラッキングして、よくある利用目的を理解し、それに合わせてチャットボットの設定を自動で最適化することです。使えば使うほど、より良い応答ができるようになる仕組みを実装しました。」
日本のエンタープライズ文書は、数千ページに及ぶこともある。
しかも同じ内容が、異なる表現で何度も出てくる。漢字・ひらがな・カタカナなど、表記の揺れもある。
この中から「同じ意味の情報」をすべて見つけて、関連付ける必要があった。
しかも、ユーザーを待たせない速度で。
「膨大な情報をどう高速に処理するか、かなり試行錯誤しました。教科書に答えが載っているタイプの問題ではなくて、自分でやり方を見つけるしかなかったです。」
結果として、手作業なら数時間かかる処理を、数秒まで短縮した。

入社当初、彼は「とにかく速くプロトタイプを作る」思考だった。
でも最終的に重視するものは変わった。
「最初はスピード重視でしたが、途中から品質管理に意識が移りました。すべてにチェックのレイヤーを入れる、手動テストもする、自動チェックも仕込む。ピクセル単位まで仕様通りにする、というレベルです。」
多くの会社では、失敗の学びは個人に閉じる。
樹林AI では違う。
「何が壊れたか」「何を試したか」「どう直したか」を共有するチャンネルがあり、全員が見られる。
「以前の会社では、問題が起きてもそのチーム内で解決して終わりでした。知識はサイロ化される。でもここでは、ズレがあればすぐにフィードバックが入り、修正できる仕組みがあります。」
あるエンジニアが、難しい機能リリース後に「次にどう改善できるか」を共有した。
その後の3回のリリースで、彼はその内容をそのまま実践し、問題なく進めることができた。
もう一つ印象的だったのは、ミーティングの考え方だ。
「デイリーの進捗共有が終わったら、すぐ抜けていいと言われます。他の会社だと『なんで抜けるの?』ってなるけど、ここではそれが普通です。」
自分の役割が終わったら離脱していい。
そのほうが合理的で、会社としても効率がいい。
彼の専攻は、ハードウェアとソフトウェアの中間にある。
ハードウェアの世界では、一度製品化したら後から変更できない。最初からすべて正しく作る必要がある。
でも、彼が面白いと感じたのはその逆だった。
「一番面白かったのは、自動で適応していく技術です。時間とともに自然に良くなるもの。昨日とは違う状態で、よりユーザーに合う形に進化している。そういう技術に関わりたいです。」
最後に、一言で
「エンジニアとして、未知の領域を自由に探求できる。一方で、顧客に届く前には99%の品質まで仕上げる責任がある。ユーザーはその裏側の努力を知らないまま使っている、という環境です。」
— Madhav Malhotra, ウォータールー大学 インターン
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